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いつからでもチャレンジしていい、みなさんにそう思ってほしい

不完全さが魅力につながることもある

Edward Baker(以下E)玉城さんは2012年にモデルとしてデビューし、2年後に俳優デビューしました。演技をするという点で「伝える、届ける」ための表現力がより強く求められるようになったと思いますが、どう取り組んでいったのでしょうか?
私はあまり仕事を分けて考えることはないのですが、モデルとして撮られるのに慣れていたことは、すごく大きかったかなと思います。もちろんお仕事としては全然違うもので、モデルは自分の強みを引き出していただくことが多いですが、俳優にはセリフがあり、役柄を魅力的に見せないといけません。当時は10代でその壁にぶつかったのですが、まずはそこに慣れていくことから始めました。今はだいぶ慣れたと思いますが、モデルという土台があったから、さらに積み重ねていけたのかな、と自分では考えています。
祐輝(以下)モデル出身の俳優は繊細な演技をされる印象があるのですが、モデルの経験が俳優業にも活かされていると感じることはありますか?
重なるところもありますけど、正直、俳優の方がやっていて大変だなと思いますし、いまだに得意なのは写真を撮られることだなとも思います。でも、俳優業はそういった不完全さがより魅力につながっていく部分もありますし、求められるものに応えていくという姿勢は同じです。その思いは、初めて俳優のお仕事をさせていただいたときから、変わっていないと思います。
E最新作『君と世界が終わる日に』Season5では、高校時代の同級生でもある俳優の飯豊まりえさんとW主演を務められましたね。
まりえがSeason1から携わって大事にしてきた作品に、途中から参加させてもらえたことは、ありがたい縁だなと思いながら演じさせていただきました。まりえとは、お互いにこれまで演じてきた役柄やキャラクターは全然違いますが、仕事に対する姿勢は似ているところもありますし、やっぱり昔から知っているので話をしていて安心できるんです。学生時代を思うとお互いずいぶん大人になりましたが、2人とも仕事を続けられていることがまずは素晴らしいですね。その上でW主演ができたことはとても嬉しかったです。

「今日が一番若いし、何歳になっても始めるのに遅くはない」
だから毎日を頑張りたい

不安や反省も自分が前を向いているからこそ

E作品自体は、ゾンビサバイバルという特殊なジャンルですが、なにか準備をしたことはありますか?
もちろんこの作品は知っていて観ていたんですけど、いわゆる「ゾンビもの」と言われる作品はあまり観てこなかったので、このお話をいただいて何作か観ました。この作品はゾンビもののカテゴリーではありますが、伝えたいことは、やっぱり人と人が交わったときに巻き起こる人間模様だったりするので、設定こそ特殊ではありますが、特別な役作りはしませんでした。
人間同士のドロドロも描かれていくなかで、玉城さんの演じた新山明日葉はとても清い存在です。明日葉を演じるために心がけていたことはありますか?
「人を救いたい」という明日葉の目線って、あの世界で生きていたらどうしても保てないことですよね。だから、そこを信頼させる説得力がないといけないと思って、私もとにかく明日葉を信じて演じました。楽な方に行かないのが彼女のいいところだなと思いましたし、彼女から学ぶことは多かったです。
2023年にはドラマ『THEIDOL』で海外作品の吹き替えをされましたが、いかがでしたか?
吹き替えらしい話し方をなじませるのに時間はかかりましたが、楽しかったです。声だけでお芝居をする難しさはたくさんありますけど、それと同時に映画やドラマで自分を前面に出すのとは、違った楽しさややりがいがあると思うので、機会があれば今後もやっていきたいです。
海外ドラマの吹き替えは初挑戦だったと思いますが、玉城さんは新たな挑戦をするときにワクワクするタイプですか、それとも不安になるタイプですか?
前日までは不安かもしれないけど、当日になったらもうやるしかないって開き直ることが多いです。ただ、仕事では前向きにできるけど、プライベートで何かの挑戦をするとなると、なかなか飛び込めなかったりすることがあるので、まだまだやるべきことがたくさんあるなと思っています。
もしそういった尻込みをしたときに、どう自分を奮い立たせていますか?
「いつ死ぬかわからないから頑張らないといけない」って感じですかね。ただ、そういった不安や反省というのも、自分自身が健康でちゃんと前を向いて生きているからこそのものなので、同時に自分を褒めていくことも大事だと思っています。
例えば、ECCに通う生徒の中にも語学留学に挑戦したいと思いながら、なかなか一歩が踏み出せないという方も多いと思います。そういう方に向けて、玉城さんが声をかけるとしたらなんと声をかけますか?
新しい環境に身を置くことの大変さは、やっぱり前提としてあると思うんです。でも、5年後、10年後の自分から逆算して考えたときに、よくあるセリフですが、やっぱり「今日が一番若いし、何歳になっても始めるのに遅くはない」なんですよね。若いころはそんなのきれいごとだと思っていましたが、自分が年を重ねていくうちに、とても重みのある言葉なんだと思うようになりました。MeLeDiを読んでくれたみなさんも、未来の自分に期待をしているからこそ、新しいものを吸収したり、勉強したりされていると思うので、私も学ばなきゃいけないと感じています。そして、成長を忘れないということと同時に、過去の自分を否定しすぎないっていうのも大事だと思っています。私もみなさんと一緒に頑張っていきたいです。

自分に何が合っているか選択肢を増やしたい

E玉城さんは、20歳の頃にオーストラリアへの短期留学をされているそうですね。
はい。そのときはお仕事だったので、少しだけ英語に触れたという感じです。実際に語学学校で授業を見学させてもらったのですが、そのときに、(現地に)行ってしまえば、あとは何とでもなるなという気持ちになれたことは本当に大きかったです。だから、今度はちゃんと留学したいなという気持ちはありますね。
E言語を学ぶのであればその国に行ってしまうほうが早いと思います。留学をする目的はやはり語学の習得ですか?
はい。私は父親がアメリカ人なのですが、英語をきちんと理解できないのは、自分のルーツ的に、もったいないと思うことがたくさんあったんです。これから先、いろいろな経験をして学んでいくうちに、もしかしたら日本以外の場所で活動したいと思うようになるかもしれません。そういうときに、言葉が足かせになるのはよくないなと思うので、本当に勉強したいなと思っていて。自分の中では、なんとなく「30代になる前に」という区切りがあります。
Eもし留学に行ったら、語学の他に学びたいことはありますか?
やっぱり日本で育ってきたから、どうしても「日本人らしさ」みたいなものが身に付いていると思うんです。それは、比較的いいことが多いんですけど、一方で、自分の限界を自分で決めてしまっているような悪い面もあると思うんです。だから、いろいろなカルチャーを経験して、自分に何が合っているのか、その選択肢を増やしたいなと思っています。
E性格的には、異文化に積極的に飛び込んでいけるタイプですか?
シャイなところがあるので、そこは自分に言い聞かせるしかないですね(笑)。私自身、人前で話すのが得意なわけではないので、そういう役柄だと思ってやるしかないというか。だから、コミュニケーションが得意な人をうらやましいなとずっと思っていました。
Eちなみに、玉城さんの現在の英語力はどんな感じですか?
いや、全然ですよ。本当に、これから語学力を身に付けないといけないなって思います。俳優という仕事に関しても、10代や20代のはじめにもっと学ぶことがたくさんあったと思うので、もし来世があるのなら、そのくらいの年齢から頑張りたいなと思ったりしています(笑)。
E今日が一番若いんですし、チャレンジするのに遅いことなんてないですよ(笑)。
そうですよね!まだあきらめずに頑張っていきたいなと思います。ECCの生徒さんにもいろんな年齢の方がいらっしゃいますし、何歳からでもチャレンジができるという意識が、日本でもっと広がっていくといいですね。

私自身、俳優以外のことにもチャレンジしていきたいです

仕事を選ぶのではなく仕事を作る時代

E俳優としては、海外作品への出演にも興味がありますか?
興味がないといったら嘘になります。まだ、自分自身の背中を押せていない段階かもしれません。
E一方で、日本制作の作品が海外で観られる機会もすごく増えていますよね。
そこは今の時代のすごくいいところだなと思っています。海外での活動をマネジメントしてくれるエージェント会社が入ってなくても、SNSでやり取りをして、海外の仕事をしている方もたくさんいますよね。私たちの仕事も、もっともっと変わっていくと思います。仕事を選ぶのではなく、仕事を作るという時代になってきたなと感じていますし、「私は俳優です」だけで済ませることが、逆に難しい時代にもなってきたなと思っているんです。だから私も、海外でも放送されるかもしれないから頑張るのではなく、自分の作品にもっと責任を持ちたいなと思っています。
実際に、WOWOWのオムニバス作品『アクターズ・ショート・フィルム2』の一編『物語』では、監督・脚本を務めていましたよね。
自分の性格的に、スポットライトを浴びてみんなの前で輝き続けたいみたいな願望はあまりないんですよ。もちろん、今向かい合っている作品や、自分がこれまで努力して積み重ねてきたことは否定しませんが、前に出るキャラクターじゃないなって最近思うことが多くて。だから、俳優以外のことにもチャレンジしていきたい、正解がそれだけじゃないということを自分で感じられたらいいなって思っています。これから先も、自分のスキマを楽しみながらやっていけたらいいですね。
E最後に、ECCで学ぶ生徒のみなさんにメッセージをお願いします。
まずは自分でECCを選んで、自分で扉を開こうと決断をされたことが本当に素晴らしいことだと思います。冊子を読ませていただいて、本当に年齢関係なく挑戦している方がいることを知り、改めて自分も頑張らないといけないなと思いました。ぜひ、一緒に頑張っていきましょう!

Interviewer
Edward Bakerエドワード・ベーカー

ECC外語学院の外国人講師の人事を担当。玉城さんの責任感、ポジティブな姿勢に感銘を受けていました。

Interviewer
狩野 祐輝

ECCの英会話コースに在籍している大学院生。大学生のころはアナウンス研究会に所属してインタビューを学んでおり、玉城さんの過去作品もしっかりリサーチして取材に臨んでくれました。

玉城 ティナ

1997年10月8日沖縄生まれ。2012年、講談社主催のオーディションで初代グランプリに輝き、14歳で講談社「ViVi」の最年少専属モデルとなる。2014年、TBS「ダークシステム恋の王座決定戦」でドラマデビューし、モデルと並行して俳優活動をスタート。2024年2 月スタートのHulu独占配信ドラマ『君と世界が終わる日に』Season5では、飯豊まりえとW主演。ヒロインの新山明日葉を演じる。

Hulu オリジナル『君と世界が終わる日に』Season5
生ける屍=ゴーレムによって文明が崩壊した世界。多くの仲間の死と響(竹内涼真)との別れを経て、明日葉(玉城ティナ)と佳奈恵(飯豊まりえ)は生き残った仲間と、人類最後の希望となる都市・ユートピアにたどり着く。しかし、平和で安全な理想郷のはずだったユートピアは、身分や能力が高い人間だけが暮らす「タワー」と、劣悪な環境の「アンダー」に分けられた、残酷な世界だった。差別によって、引き裂かれる明日葉たち。そんな中、ユートピアで反乱が起こり…。

Huluにて独占配信中 © HJホールディングス

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