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学ぶことと実践すること、両方を行うことが大切

夢がかなった作品なので世界中の人に観てほしい

Edward Chynoweth(以下E)ドラマ『THE HEAD』Season 2の公開おめでとうございます。「海外作品に出演する」という夢をかなえたお気持ちを聞かせていただけますか?
20代のうちに、海外作品で英語を使ってお芝居をすることが夢だったので、本当に嬉しいです。日本だけではなくさまざまな国で放送・配信されているので、世界中の方に観ていただきたいです。
E福士さんが演じたユウト・ナカムラは、天才コンピューター・エンジニアという役柄です。どのような役作りを行いましたか?
ユウトはコンピューターのエキスパートです。だからタイピングのスキルが必要だと思い、タイピングの世界大会の動画を見て、研究しました。みんなタイピングする前にカイロで手を温めたり、こすったりして、準備をしていたので、その仕草を取り入れました。ですが、役作りよりもやっぱり英語で演じることの方が、難しいポイントでした。
陽愛(以下)英語で演じるために、意識したことはありましたか?
日本語にも抑揚はあるけど、英語はそれがより強く出るんですよね。例えば、同じ「I don't know.」でも、イントネーションでニュアンスがちょっと変わってくる。セリフだとさらに長いセンテンスになるので、どこの部分を強調してリズムを作っていくのかが、すごく重要だなと思いました。そこまでしなくても意味は伝わるのですが、俳優としてはそれをしっかりやった方がより気持ちが伝わると思うので、意識して発音していました。
E英語の発音も意識して学んできたのですか?
もともとは中学生のときに、英語の先生から「君、発音いいね」と言われて、自分は英語ができるんだと、いい勘違いをしまして(笑)。そこから受験科目として英語の勉強をしてきました。でも、20歳のときにアメリカの方と会話をしたとき、全く話せなかったんです。これだけ勉強をしてきたのに、何がいけないんだろうと見直して、スピーキングやリスニングを伸ばしていこうと考えました。
Eはじめから英語を俳優業に活かそうと考えていたのでしょうか?
最初は全く考えていなかったです。でも、日本で役者のキャリアを積んでいくうちに、「英語を使えば、より世界中の人に見てもらえる可能性がある」と思うようになり、そこから積極的に海外作品のオーディションを受けたり、セルフテープを送ったりするようになりました。それが、ここ5年くらいの話です。

相手との会話を「楽しむ」マインドを持つことで英語でのコミュニケーションは大きく変わる

コミュニケーションをとりたいその気持ちが大切

E英語は、ずっと独学で勉強されていたんですか?
英会話スクールに行ったこともあるのですが、スケジュールがなかなか合わなかったので続けられなくて、基本的には独学で学んできました。海外ドラマや映画、YouTubeを観て学ぶのを、今も続けています。
おすすめの勉強方法を教えてほしいです。
最近は、ひたすら海外ドラマの『フレンズ』を観ています。ネットや書籍でスクリプト(台本)が手に入るので、まずはわからないなりに読み進めて、それから映像を見て、またスクリプトを読むことを繰り返しているうちに、最終的に字幕なしでも理解できるようになるんです。だいたい1話25分を見終わるのに、1〜2週間かけています。ちょっと難しいかもしれないけど、そうやってネイティブのスピード感や、フレーズ、イントネーションを身につけようと思っています。
私は0歳のときから英語にふれ始めたので、どちらかというと会話よりも書く方が苦手なんです。
読み書きは受験に必要なので、身につけておかないと困りますよね。それなら、文法をしっかり勉強して、単語をひたすら覚えるのがいいと思います。難しい単語を覚えたら、次は会話にも使ってみるとか。両方続けていくと、だんだんできるようになっていくと思います。
E語彙力は大切ですね。福士さんはどうやって身につけましたか?
僕は陽愛ちゃんとは逆で、20歳まで受験勉強としての英語学習しかしていなかったので、ひたすら単語帳を繰り返し読んで覚えていました。暗記は得意だったのでそこは問題なかったのですが、スピーキングとリスニングが全く追いつかなくて。だから、0歳から英語を始めた陽愛ちゃんが、本当にうらやましいです(笑)。Edward先生も、日本語を覚えるために何か日本のコンテンツを見たりしましたか?
E私の日本語はちょっとかたいので、『テラスハウス』(フジテレビ系列)でカジュアルな日本語を学びました。あとは、日本人の婚約者がいることも大きいかもしれないです。
確かに、婚約者の方と話すことで、日常的に学んでいくのも大事ですよね。僕もスペインで撮影をした2カ月間で、グッと英語力が上がったと思っているんです。というのも、語学力も大切だけど、コミュニケーションをとりたいという気持ちが大切だと学んだんです。それに気づいてからは、英語でコミュニケーションをとることにストレスがなくなりました。

日常会話はすべてアドリブみたいなもの

Eスペインで撮影を行ったそうですが、日本の撮影現場と比べて違いはありましたか?
基本的な撮影のやり方がほとんど変わらなかったことに、逆に驚きました。今回の作品はいろんな国からキャストが集まっていたので、共通言語は英語でした。でも、母国語が異なり英語が得意じゃない人もたくさんいたんです。日本では日頃他の国の人と接することが少ないけど、異なるバックグラウンドを持った人たちでも、僕と同じように不安な気持ちを抱いていることを知りました。撮影中はそういった人たちが、お互いを知ろうとしていたところがよかったんじゃないかなと思います。
E撮影中、言葉の面で苦労を感じることはありませんでしたか?
ものすごくありました。キャストの人たちとよく食事に行く機会があったのですが、最初の1カ月くらいは「自分の英語が通じなかったらどうしよう」とか「気を遣われたらどうしよう」と思ってしまって、気が進まなかったんです。日本にいる家族や親友に電話して、「今日も、のほほんとやってるよ〜」なんて言いながら、本当はすごく寂しかったりして。でも、だんだん慣れてきて、2カ月目くらいからは、食事に誘われたときは必ず行くなど、積極的に参加するようにしていました。
Eちなみに、撮影中は主演のジョン・リンチさんがかなりアドリブをされたそうですね。
そうなんです。だから、台本をなぞるのではなく、しっかり相手の言葉を聞かないといけなかったんです。失礼があってはいけないし、ジョンとの撮影の前日は、そのシーンのセリフを全部覚えた上で、「ジョンはここはこう変えてくるはずだ」と予想して準備をしました。でも、そのおかげで、エモーショナルないいシーンが多くなったと思います。
E英語でお芝居をすることと、英語で日常会話をすることはまた違いますよね?
正直に言うと、セリフが決まっているという点で、お芝居は気が楽でした。日常会話は何が起こるかわからないから、すべてアドリブみたいなものです。だから、待ち時間の雑談用にトークテーマを用意していました。現場にサウナがあったので「日本でもサウナが流行っているんだよ」と自分から振って、返事を予想しながらその返しまで用意していました。自分で台本を書いている感じでした(笑)。

世界が広がるって楽しいそういう感覚で英語と向き合ってほしい

リスペクトを持って言語を学んでいきたい

英語を使って、これからやっていきたいことはありますか?
ボーダーレスに仕事をしていきたいと思っています。英語という言語を使えば、基本的には世界中で仕事ができるから、もっともっと学んでいきたいですし、それと同時に、今は中国語や韓国語も学んでいます。もともと言語を勉強するのが好きなこともありますが、他の国に行ったときに、少しでもその国の言葉で話すと、すごく喜んでくれるんですよね。だから、英語に限らず、リスペクトを持っていろんな国のいろんな言語を学ぶことは、これからも続けていきたいと思っています。
私もいつか留学したいと思っているのですが、福士さんが実際に海外に行って率直に感じたことはなんでしたか?
言語能力よりも、コミュニケーション能力が大事だということ。今回の撮影現場でも、英語は普通に話せるのに、なかなかコミュニケーションが(うまく)とれない人もいましたし、逆に英語はしゃべれないけど、すごく楽しそうにコミュニケーションをとっている人もいました。これは、語学力のあるなしではなく、マインドの違いだなと感じたので、自分ももっと楽しめる人になれればいいんじゃないかと、考えがちょっと変わったんです。もちろん、語学力があると自信になるから、より楽しめるとは思いますが、両方を意識してみるといいんじゃないかなと思います。
コミュニケーション、私も留学したら頑張ってみます!
きっと留学を経験したら「こんな世界もあるんだ」と考え方が変わるだろうし、早いうちに経験した方が、吸収できることが多いと思うんです。その経験から「自分はこんな人間になりたい」というような、指針ができたりもすると思うので、言語を使って自分を成長させる何かを、学生のうちに考えてみるといいかもしれないですね。
EECCで学ぶ生徒の中には、将来、福士さんのように英語を活用して海外で活躍することを目指す人もいると思います。そんなみなさんに、最後にエールをいただけますか?
日本にいて、日本語を使って、日本の経済を動かすことだって、とても素晴らしいことです。でも、例えば何かを検索するときでも、英語で調べた方が情報量は圧倒的に多くなります。だから、選択肢を増やすという意味では、英語を学んでおいて損はありません。やらなきゃいけない、ではなく、世界が広がるのは楽しい、そういう感覚で英語と向き合っていけば、人生がより豊かになると思います。

Interviewer
Edward Chynowethエドワード・チェナーウェス

ECC外語学院の外国人講師の人事を担当。イギリス出身。インタビュー中、福士さんとアメリカ英語とイギリス英語との違いを語り合う場面もありました。

Interviewer
山口陽愛

幼い頃から楽しく英語を学び、全日本ECC中学生英語暗誦大会への出場経験もある中学3年生。将来の夢は俳優ということで、先輩でもある福士さんに、演じるために心がけていることなどを熱心に聞いていました。

福士蒼汰

1993年5月30日生まれ。2011年に俳優デビュー。同年9月に『仮面ライダーフォーゼ』(テレビ朝日)で初主演を務める。映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍する一方、独学で英語を学び、2023年日本公開の海外ドラマ『THE HEAD』Season2で、英語力を発揮している。ドラマ『大奥Season2』(NHK総合)に出演。

Hulu オリジナルTHE HEAD Season 2

陸から遠く離れた南太平洋上を航行するアレクサンドリア号。それは巨大貨物船を装った秘密研究基地だった。人類を救う新たな発見に研究員たちが沸く中、首のない死体が発見される。2年前、南極の研究基地で似た惨劇を経験したアーサー(ジョン・リンチ)が戦せんりつ慄する中、コンピューター・エンジニアのユウト(福士蒼汰)をはじめ、逃げ場のない状況で疑心暗鬼になっていく研究員や乗組員たちの心理戦が繰り広げられる。

Huluにて全話独占配信中(全6 話) © Hulu Japan

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