未来のために、学んでおくこと
エコフレンドリーを集めよう♪
「Inclusive design(インクルーシブデザイン)」とは、環境に優しい、という意味を持つ造語です。
環境問題を経済的に解決していくために私たちができることを紹介。
今回は多種多様なユーザーの声を取り入れるデザイン手法「Inclusive design(インクルーシブデザイン)」をピックアップします。
テーマ
【Inclusive design(インクルーシブデザイン)】

インクルーシブデザインとは?
例えば、朝起きて、1人で家を出て、電車で勤務先に向かう。こうしたことを日々意識せずに行っている人も多いでしょう。しかし高齢者や障がい者など、さまざまな背景を持つ人にとっては難しいかもしれません。つまり、これまで市場に出回っている商品やサービスは、多数派の人を対象につくられてきたものがほとんどでした。対象から排除されがちだった少数派の人の声を取り入れて、商品やサービスをデザインする手法が「インクルーシブデザイン」です。これを提唱したのは、イギリス王立芸術大学院のロジャー・コールマン名誉教授。1994年、カナダのトロントで行われた国際エルゴノミクス会議で、教授が発表した論文がはじまりといわれています。
インクルーシブデザインにまつわる各国の取り組みやアイデア
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United Kingdom(イギリス)
「インクルーシブ教育」が進んでいます。特別な教育的ニーズを有する子どもが、通常学級の子どもと同じ学校の教室で授業を受けたり、美術館などの施設がどんな子どもでも作品を鑑賞できるような工夫をしたりする等の取り組みが行われています。
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United States of America(アメリカ合衆国)
携帯電話などの画面上にあるアイコンはアメリカが起源です。誰でも使いやすい操作方法「GUI(Graphical User Interface)」として1970年代にパロアルト研究所がそれまで文字だったUIをビジュアルで開発。1980年代にApple社がMacに取り入れ、世界的に広がりました。
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Republic of Peru(ペルー共和国)
100年以上続くセメント会社セメント・ソルが、視覚に障がいを持つ人が施設の種類を識別するのを助ける点字ブロックを開発。ブロックにある棒線を白杖でなぞると、例えば1 本ならレストラン、2 本なら銀行、と本数で施設がわかるようになっています。
KEYWORD関連キーワードをCHECK!
インクルーシブデザインにまつわる用語を英語で紹介します。テレビやネットニュースを見る際に、こうしたワードが出ていたら注意して見てみましょう。
- Inclusion (包含)
- 動詞「include(含む)」の名詞。商品やサービスの企画初期段階で除外されやすい消費者層も対象に含んで考えていく、といった意味合いを持ちます。
- Minority (少数派)
- 対義語は「majority(多数派)」。「マイノリティ」と呼ばれる少数民族やグループの声に、多数派が耳を傾ける動きが広がっています。
- Diversity (多様性)
- 性別、人種、宗教、障がいなどの多様性を指します。
- Accessibility (手の届きやすさ)
- 「access(近づく)」+「ability(能力)」。「アクセスしやすい」から転じて、製品・サービスの利用しやすさの意でも使われます。どんな背景を持つ人でも、誰もが「使いやすい」商品やサービスが求められています。
インクルーシブデザインについて議論しよう
「すべての人を包み込む」といった意味を持つインクルーシブデザインについて、意見を交換するときに使えるフレーズを3つ紹介します。

COMMITMENT取り組み
企業に求められる社会貢献
(インクルーシブデザインへの企業としての取り組みを教えてください。)
少数派の声も取り入れることが大切
「commitment(公約)」は、「社会に対して約束する」といった大きな意味を持ちます。企業は多数派のユーザーに向けた商品やサービスを生み出す場合が多いですが、少数派のニーズを反映したものをつくることも求められています。ひいてはそれが企業としての社会貢献につながるのです。

ISSUES課題
各人の課題は全体の課題として考える
(住民の生活改善のため、クリアしていくべき課題を挙げていきましょう。)
すべての人の生活向上を目指して
例えば集合住宅の各部屋には、それぞれの事情がある人が住んでいます。そこに暮らすすべての住民が平等に、無理なく生活できるようにするには、各家庭で困っていることを全体の問題として捉えなくてはならないでしょう。そうすることで結果的に、住民全体の生活向上に結びつくはずです。

PROSメリット
異なる背景を持つ各ユーザーの特性に配慮
(このデザインを取り入れることで、利用者にはどのようなメリットがありますか?)
年齢、性別、すべての背景に配慮
ユーザーをマスとして画一的に捉えるのではなく、年齢、性別、異なる背景を持ったユーザーそれぞれの特性への配慮は外せません。それを盛り込んで設計された商品なら、ユーザーにとって十分なメリットがあるといえます。
インクルーシブデザインのアイテムをCHECK!
実際にインクルーシブデザインを活用した商品やサービスの例を見てみましょう。
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「SOLIT」とは?
理学療法士などの医療・福祉従事者、ファッションデザイナー等の専門家たちが集まり、2020年に誕生。インクルーシブデザインを取り入れたファッションを企画開発、販売しています。
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インクルーシブ
ファッションブランド
「SOLIT」のシャツ「Thought」マグネット式ボタンが特徴的な「Thought」は、片手でもつけ外しが簡単にできるようにデザインされたシャツ。サイドには深いスリットが入っているため、動きやすさが増すと同時に、座ってもおなかまわりに布が余らない形に。既存の服を着るのが難しいと考えるユーザーの悩みに対応する機能と、高いファッション性を兼ね備えています。